将来なくなる仕事③ ~自動運転編~

      2018/03/27

相次ぐ高齢者ドライバーの事故。

駐車場から車でお店に突っ込んだり、小学生の列に突っ込んだりと凄惨な事故が連日報道されています。

信号無視で赤信号を突っ切ったり一方通行の道路を逆走してきたりする高齢者ドライバーを私自身も目にしたことがあります。

事故にはならなくても、周りが見えていない高齢者ドライバーにイライラした経験の人は多いはずです。

 

 

なぜ高齢者事故が起きるのか

信号や標識が見えなくなる認識能力の低下、脳の働きが遅くなることでの判断能力の低下、脳が判断してから行動するまでの運動能力の低下など、複数の要因があって運転技術の低下に繋がり事故が起きてしまいます。

 

たとえば時速60kmで進む自動車が危険を感じて急ブレーキを踏む場合、判断とブレーキが1秒遅れるとその間に17mも進んでしまいます。

そこから更に自動車が完全に止まりきるまでに37m進むので、合計で54mもの間進み続けることになるのです。

1秒の判断の遅れが引き起こす事故があることを知らなければなりません。

 

運転するということは同時に色んなことを処理しなければならない複雑な行為です。

・ハンドル操作をする
・アクセルとブレーキの加減をする
・標識に目を配る
・信号を見落とさない
・ナビの案内に従う
・通行人に気を付ける
・制限速度を守る
・前後の車の速度や間隔に気を配る
・死角から何か飛び出るかもしれない注意をする
・車幅感覚を持つ

 

この複雑な操作を運転の慣れによって簡単なものと認識してしまいがちですが、老化によって脳と体は処理が追いつかなくなるのです。

よくある高齢者ドライバーの事故はブレーキとアクセルの踏み間違いだそうです。

焦ってパニックになると間違ってしまうということですので、普段は安全運転を心がけているドライバーでも、急な飛び出しがあった時に判断を誤ってしまうこともあるかもしれません。

「まだまだ私は大丈夫」「年寄り扱いするな」「今までだって事故は起こしたことはない」という過信が事故を招きます。

 

 

これからも増えていく高齢者事故

現在高齢社会で5人に一人が65歳以上という世の中で、今後も医療技術の発達は進み80歳の平均寿命は将来的に100歳まで伸びると言われています。

高齢者ドライバーの事故はこのままだと増えていく一方だと予測できます。

「80歳以上は免許を返納するべき」という議論もテレビ番組で最近よく見かけますね。

自転車や歩行者の高齢者も危険で見ていられない時がよくあります。

 

 

自動運転技術の進化

高齢者事故に終止符を打つべく、自動車の自動運転技術の発達を急ごうとする動きがあります。

≪ 現在の自動車運転アシスト技術 ≫
・障害物自動ブレーキシステム
・高速道路自動運転システム
・車間距離自動調整システム
・半自動駐車システム

 

一般道でも自動運転ができるように実際の公道で試験走行している段階まで現在の自動運転は進化してきています。

たしかな安全性が立証されれば、自動運転車はまたたく間に広まるでしょう。

今後5年~10年の間に自動車運転は完全自動走行になると言われています。

 

≪ 自動運転のレベル ≫
レベル1 ひとつの操作を自動化
レベル2 複数の操作を自動化
レベル3 基本は自動走行で、緊急時のみドライバーが対応
レベル4 ドライバーなしで完全自動走行

 

日本では2020年代の間にレベル4の自動運転を目指しています。

特に自動車産業が盛んな愛知県が力を入れて自動運転の開発に取り組んでいます。

 

 

自動運転技術によってなくなる職業

運転業

車を運転する職業はなくなってしまいます。

・タクシー運転手
・トラック運転手
・バス運転手
・運転代行業

運転ルートが決まっている、もしくは目的地を設定すればあとは運転するだけといったものは自動運転によって仕事を奪われることになります。

 

自動車教習所

運転免許が不要になるわけですので教習所はなくなります。

同じ理由で免許発行と更新のための公安委員会もなくなりますね。

 

交通安全課(警察)

自動運転によって交通事故はなくなります。

交通安全を呼びかけるための交通安全課は廃止になります。

 

自動車保険

万が一の自動車事故に備えて用意するためにあった自動車保険はなくなります。

 

 

自動運転がもたらす便利な未来

もちろん自動運転は仕事を奪うだけではありません。

私たちの生活をより豊かにしてくれる場面も多く持ちます。

 

商品の値下がり

トラックの無人化により物流コストが下がるため商品の原価が下がります。

私たちは商品を安く手に入れることができるようになります。

 

宅配の新たなサービス

宅配サービスは今後ますます私たちの生活になくてはならない存在になります。

運転の無人化によって運送業の人手不足が解消され、一般家庭への配送を土日祝日や深夜にできるようになります。

仕事の都合で昼の在宅ができない人でも夜23時や24時に受け取りができます。

送料無料ができる最低金額も下がっていくことでしょう。

 

コンビニの移動化

移動販売店が進化して、コンビニがまるごと1件移動するようになります。

いよいよ究極にお客に近い存在になるわけです。

 

スマホやPCで呼び出せば、いつでも自宅前にコンビニを呼び寄せることが可能になります。

忙しいサラリーマンや主婦、体力のない年配の方など幅広いターゲット層に重宝されるでしょうね。

 

新たな旅行のパッケージ

今まで観光バスで集団での旅行をする観光バスツアーが一般的でしたが、自動運転技術によって個人を好きな場所へ案内する旅行プランが新しく始まるかもしれません。

旅行代理店に行って案内係の方と一緒に自分の行きたい場所を事前に設定しておきます。

旅行の当日には家まで車が来てくれてプランに沿って運転してくれます。

 

カーシェアサービス

車を持つのにコストがかかることを気にする方へカーシェアサービスが広まります。

使いたい日の予約をすると、別の利用者が使ったあとで待機していた近くのカーシェア専用車が自宅に来てくれます。

 

食品の宅配サービス強化

コンビニやスーパーはより消費者に近づくため宅配サービスを強化します。

今まで人件費の面で問題があり需要はあるものの急激な拡大はありませんでしたが、無人宅配によって各社の競争は苛烈を極めます。

 

サーキット場の設置

趣味として運転を楽しみたい人向けにサーキット場が設置されます。

スキーやハングライダーのようなレジャーとして運転は位置づけられるようになります。

 

キャンピングカーの進化

自動運転によって車内にいる人は自由な時間を手に入れます。

目的地につくまでに食事をしたりパソコンをしたり睡眠をとったりできます。

こうした需要から、移動中になんでもできる現在のキャンピングカーに似た自動車が開発されます。

冷蔵庫や電子レンジ、IHクッキングヒーターなどが使える家庭用コンセントを完備しています。

 

これにより家を持たずに生活することも可能です。

ビジネスの場では、大阪の出張が終わったら次は東京、次の日は仙台といった連日の移動もホテルに泊まることなく簡単にできるようになります。

こうした理由で一部のビジネスホテルは縮小するかもしれません。

 

観光地の活性化

自動運転は旅行をすることのハードルを大幅に下げてくれることでしょう。

電車やバスの場合は待ち時間や乗り換え、同乗客への気遣いなど様々なストレスがありますが、自動運転であれば自由な時間と空間を得てストレスフリーで移動ができます。

あたかも目覚ましをかけるかのような感覚で目的地設定を行い、あとは寝ていれば旅行先についてしまいます。

 

特に外国人観光客は上に挙げた自動走行キャンピングカーを利用して日本の観光名所をたくさん回りたがるのではないでしょうか。

ビジネスホテルやマンガ喫茶で泊まるよりもキャンピングカーを数日間レンタルした方が安く済むかもしれません。

 

 

さいごに

自動運転技術の進化によってなくなる仕事がある一方で、新しくできるサービスで潤う業界があることにも注目です。

 

しかしながら、現在運転によって収入を得ている人の多くは職を失うことになってしまいます。

しかもそれは遠い未来の話ではなく5年~10年先の出来事です。

自動運転が全世帯に普及して完全移行するまではまだ猶予があることが唯一の救いですが、縮小していく産業に身をささげるのはかなり危険な選択と言わざるを得ません。

 

 

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