開業費で認められるもの・認められないもの まとめ
2017/04/16

事業の開始はいつ?
開業日は、税務署に提出する「開業届」に書いた日になります。
ただし、開業までの期間は1年以内が常識の範囲のようです。開業日についての規定はなく自分で決められるとはいえ、3年や5年といった長すぎる準備期間は認められないケースが多いようです。
レシートはとっておきましょう
個人事業を始めようと思い立った日から事業準備は始まります。
開業前の準備に必要になった費用を「開業費」として経費精算することができます。そのため経費にできそうなものは全てレシート・領収書をとっておくことをオススメします。
「こんなの経費にならないよな」と思ったものでも後になって「レシート必要だった!」と後悔することになるかもしれません。要らなければ後で捨てるだけなのでレシート・領収書は全てとっておくクセを身に付けましょう。
開業費として認められるもの
開業費として認められるためには、「開業準備のために特別に支出する費用」という条件をクリアする必要があります。もちろん私用で使ったお金は経費として計上しないようにしましょう。
仕事用の備品
10万円未満の道具や備品は開業費として計上します。仕事用に買った机や本棚、プリンター、シュレッダー、パソコン周辺機などがあたります。
参考書
ビジネスを始めるための参考書や啓発書、資料なども開業費になります。
相談のための交際費
開業するにあたって先輩に相談に行った食事代金も開業費になります。割り勘の場合はその旨も明記しておきましょう。
印鑑や名刺の作成費
挨拶に使用するための名刺をあらかじめ作った場合や事業用の印鑑を事前に作った際の費用も開業費です。
広告費
店のアピールのためにチラシの印刷や新聞折り込みをした際の費用は開業費です。
開業のための交通費
開業準備に使った交通機関の利用料金は開業費です。
開業のためのガソリン代
開業準備のために車で移動した分のガソリン代は開業費になります。プライベートで使った分と按分して計算してください。
サーバー・ドメイン代
ブログを自分で持つためのサーバー代およびドメイン代は開業費になります。
開業費として認められないもの
10万円以上の備品
10万円以上で購入した備品は資産として減価償却運用となるため、開業費で処理できません。10万円を超えるものとしてはパソコンや事業用の自動車が該当しやすいと思います。
商品仕入
商品の仕入れ代金は開業費としてではなく、初月分の「仕入高」に組み込んでください。
専用に作った事務所の家賃
自宅以外で専用に作った事務所の家賃は、経費にはなりますが開業費ではありません。開業前家賃は「初月度の家賃」に含めるようにして計上します。
自宅の家賃,水道光熱費
自宅を事務所として構える場合は、事業開始前の家賃按分は認められません。同じく水道光熱費も認められません。
インターネット料金,携帯電話料金など
インターネットを利用して開業に必要な調べごとをしたとしてもインターネット料金や携帯電話料金は経費としては計上できません。おとなしく開業日以降の分だけ「通信費」として按分計上しましょう。
持ち家のローン
家賃とは違い、家のローンに関してはそもそも事業の経費として認められません。
例外
開業費については細かな決まり事がないため、税務署の判断に委ねられます。そのため、次のような場合には事業開始前の家賃・インターネット料金などの経費への計上が認められるケースもあるようです。
例)
開業に伴って新たに住居兼事業所のマンションを借りることにした。前々から開業の準備をしていて、あらかじめ決めておいた開業日の1ヶ月前に引越しをして事務所の整理を行った。その際にインターネット会社と新たに契約を結んだ。
事業展開に向けて新たに契約を結んだ場合は費用として認められることがあります。「開業準備のために特別に支出する費用」という条件に合致すると判断されるからです。この場合は引越しの費用や礼金なども経費として按分計上できます。ただし引越ししてから開業までの期間が長いと認められませんので注意しましょう。詳しくは地域の税務署に相談してください。
開業費の精算
開業費は、経理上「繰延資産」に入ります。開業までに必要になった費用は、今後の事業の中で徐々にその効果が発揮されるという考えから減価償却に似た形で処理されます。
初年度に一気に費用精算しても良いですし、最大5年に分けて年々精算しても構いません。たとえば3年に決めた場合、開業費を3等分して3回に分けて毎年精算します。
例)
初年度に稼いだ場合
一括精算して所得税対策
初年度が稼げなかった場合
5年間で均等償却する
開業初年度の利益が出ているか出ていないかによって決めたらよいと思います。