将来なくなる仕事② ~人工知能編~
2018/03/27
人工知能の発達によって私たち人間の仕事がどんどん奪われていく日は遠いSFの世界ではなくなってきています。
人工知能の台頭によって今後の世界経済がどのように変わっていくのかを見ていきましょう。
人工知能とは?
人工知能はAI(Artificial Intelligence)とも呼ばれ、人工的に作られた知能のことを指します。
人間がプログラミングしたこと以上のことを自分で学習し、応用してどんどん知識を増やしていきます。
今までの機械はプログラミングした範囲でしか行動できませんでした。
たとえば「おはよう」という挨拶にたいして「おはようございます」と返事するのはプログラムされた行動です。
人工知能の場合は人間のさまざまな言葉の投げかけに対して過去のデータをもとに今返事するべき最適な答えを探して発します。
「もうお昼ですよ」や「目が開いていませんよ。起きたばかりですか?」など人間の会話と何も変わらないことができてしまうのです。
さらに相手の反応を見てどう反応すれば相手が喜んでくれるかを自分で考えたりもします。
将棋界では人工知能との対戦が実現されるほど今や一般的になってきています。
書店に行くと、人工知能に関する本や個人制作するための参考書もかなり膨大な数が出版されていることに驚きます。
しかも人間と比べて優れているのは、人工知能は過去の記憶を鮮明に記録しているということです。
人間は新しい記憶を得るために過去の記憶から使用頻度の少ないものを消去します(正確には完全消去ではありません)。
過去の記憶を整理しなければ新しい記憶が入りません。
人工知能の場合は過去のデータをすぐに引き出せる状態を保つことができます。これでは人間が勝てなくなるのは明らかでしょう。
2045年問題「シンギュラリティ」
今はまだ開発途中の段階で、人間と同じことができる精巧なものはありませんが、近い将来必ず実現するはずです。
2045年という遠くない未来にはコンピュータが人間を超えてしまうと言われています。
これを2045年問題もしくは「シンギュラリティ」(宇宙科学用語で驚異的という意味)といい、世界中の有識者が議論を日々交わしています。
これはゴードン・ムーアが1965年に唱えた集積回路の密度は2年で2倍になるという「ムーアの法則」からきており、レイ・カーツワイルがそこから拡大して2045年以降に様々な問題が起こることを予測しました。
2045年以降は新しい科学技術を発明するのは人間ではなく人工知能とされ、人工知能が世界を支配していき、人間は追いやられていくという予測です。
一歩間違えると1984年制作の映画「ターミネーター」のように人間と機械が戦う時代が来るかもしれませんし、2004年公開の映画「アイ,ロボット」のような発達した人工知能による殺人が起きるかもしれません。
もちろん、そうならないために道徳観や倫理観をプログラムするのですが、人間の予想と理解を超えて人工知能が解釈した場合に予測不能な行動をとるかもしれないのです。
これを阻止しようと考えたりそもそもを否定する識者も大勢います。
しかし、軍事用に開発されるメリットがかなり大きいため技術を買い取って発展させる人が世界の中にはいるのではないかと心配されます。
人の好奇心は止められないものです。
人工知能によって将来なくなる仕事
人工知能の発達は、私たちの人間でしかできなかった仕事をどんどん奪っていくことになります。
人件費が企業にとっての最大のコストです。労働者の声を反映して従業員給与は政策によって上がる一方。
それをどうコスト削減するかというと、海外の労働を頼るか機械に頼るかのどちらかになります。
人工知能の技術革新は今の労働経済を一気に変えてしまうことでしょう。
≪ 人工知能によってなくなる仕事 ≫
- 受付・オペレーター
- クレーム処理
- 接客業務全般
- 顧客分析・マーケティング
- 営業数値と目標の試算と提案
- 弁護士
- 医者
- 役所公務員
- 学芸員
- 自動車営業マン
- 銀行員
- 気象予報士
- 通訳
- 秘書
- 美術鑑定
- 栄養士
- 薬剤師
- 公認会計士
- 税理士
- 中小企業診断士
単純労働はすでに機械化してきていますが、それに加えて知的生産をしてきた人間でしかできなかったとされる仕事も奪われることになります。
上に挙げたのはほんの一例で、言ってしまえば最終的にほぼ全ての仕事が将来人工知能によって奪われることになります。
過去のデータをもとにした未来予測を行う仕事が主に人工知能に代わられます。
また、一定の場所で行う業務についても機械化しやすい要素にあたります。
要所要所でモニターを設置するか、利用者にタブレットを持ってもらうことで動き回ることが可能になる場合もあります。
将来残る仕事
人工知能プログラマー・アドバイザー
人工知能を制作したり改良するための援助をする仕事は拡大するでしょう。
ただし海外の労働者に仕事を奪われる可能性はあります。
芸術家・ミュージシャン
今や人工知能でも音楽を作曲したり絵画作品を新たに描くこともできるようです。
しかしどこか表面的で深みのないものに仕上がります。
芸術によって人を感動させる仕事は人工知能には不可能です。
その人の人生や価値観などの背景があるからこそ、その芸術に感動を生み、価値が生まれるものです。
作家・漫画家
本やマンガをかく想像力と創造力が必要な仕事も人工知能には難しいでしょう。
ただし、2016年のニュースで「人工知能が脚本した映画」が取り沙汰されたように、可能性に挑戦しようとする試みはなくなることはないでしょう。
タレント
俳優・芸人・モデルのような人間にしかできない仕事は生き残ります。
ロボットがドラマの役を演じていても見ている私たちは感情移入することができません。
かっこいいロボットを見てもそれを見て「憧れ」を抱く人はおらず、「美しい」という感情で心に映ることでしょう。
人はそれをどうしても「モノ」としてしか見ることができないため、感情を共有することができません。
さまざまな個性を持つ人間と同じように特定のロボットが人気を得るということは決してないでしょう。
クリエイティブな仕事、人の感情を動かす仕事が生き残る ことが分かります。
ただし、これはひとまずの話です。
人工知能の成長性は未知数であり、人間以上のクオリティになっていくことも充分に考えられます。
そうなると本当に誰も予想がつきません。
さいごに
人工知能を悪のように書いてきましたが、もちろん社会の役に立つものであることに異論はありません。
人工知能によって人が危険にさらされるような仕事もなくなり、力仕事や深夜の労働なども機械に行ってもらえるようになります。
時に人間には絶対不可能な能力を発揮する場合もあります。
犬や猫との会話も人工知能が可能にするかもしれません。
人工知能は労働環境の改善をおこない、これからの人々の生活を豊かにしてくれる大きな科学技術革新です。
しかしながら、私たちのお金を得る手段をかなり限定する脅威になります。
このことは非常に多くの人が危惧しており評論家や研究者の方の論文も多く発表されている、決して看過できない問題です。
私たちが生きているうちに実現される世界でしょう。
単純労働で食いつなぐのは無理な時代がやってきます。
よりクリエイティブな仕事、より感動される仕事を目指してこれからの働き方を見直さなければなりません。