開業届にはお得な提出タイミングがあった!メリット・注意点まとめ
2018/11/26
開業届を出すのは誰でもいつでも簡単にできてしまいます。
特別な審査もなく、本当に「書いて出すだけ」です。
でも、開業届を出すタイミングや書き方、一緒に出すものによって損したり得したりがあるのはご存知でしょうか?!
「知っている人だけが得をする」という開業届の提出の際の注意点をまとめましたので参考にして頂けたらと思います。
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目次
開業届とは?
事業を始めるときには税務署に「開業届」を提出して申請しましょう。
開業届は「個人事業の開業届出・廃業届出書」として国税庁のホームページでダウンロードできるので印刷して記入してから税務署に持っていくこともできます。
もちろん、税務署に行けばその場でもらうこともできますよ^^
開業届と一緒に提出しないと大損してしまうものとは?!
開業届を提出する時には、一緒に出さないと大損してしまうものがあります。
確定申告の時に大慌てして後悔しないようにするためには、開業届の提出前から勉強して知識を持ってなければなりません。
青色申告で65万円の控除
開業届を出して個人事業主になったら必ず行うことになるのが確定申告です。
確定申告では、白色申告と青色申告のどちらかから選ぶことになります。
では青色と白色は何が違うのでしょうか?
一番大きな違いは、青色申告にすると節税ができるということです。
◆白色申告の場合
「所得=売上ー経費」
◆青色申告の場合
「所得=売上ー経費ー青色申告特別控除(65万円)」
青色申告では65万円の所得控除を受けることができます。
そして、この青色申告ができるのが開業届を出してすぐの人だけなのです。
青色申告の承認申請は開業から2ヶ月以内に行う必要があります。
開業届と一緒に提出することをオススメします。
税務署の方に言えばすぐに申請書をもらうことができますよ。
青色申告なら赤字の繰り越しができる
青色申告の場合は赤字を翌年に繰り越すことができます。
たとえば今年100万円の利益が出て、昨年が100万円の赤字だった場合はプラスマイナスゼロにして所得税や住民税がかからないという申請ができるのです。
赤字は最大3年間繰り越せます。
家族従業員の給与支払いで節税もできる
青色申告の場合は家族に事業を手伝ってもらい従業員給与を支払って経費にすることができます。
奥さんや15歳以上のお子さんなどに事業を手伝ってもらい、支払った賃金を経費にすることで節税ができます。
ただし従業員は事業に専業していることが条件で、掛け持ちは認められていません。
給与額は自分で決められますが、売上や利益に見合わない異常な金額の給与を支払うのは認められません。
これを行うには「青色事業専従者給与に関する届出書」を申請する必要があります。
開業届提出のお得なベストタイミングとは?
開業届は税務署が受付している平日であればいつでも提出可能です。
投函での提出も可能ですが、初めての場合は受付の人にチェックしてもらう方が良いでしょう。
所得税の計算期間が1月1日~12月31日であり、その間であればいつ提出しても違いはありません。
ただし、年間事業所得が”とあるライン”を超えるか超えないかで次の年に開業した方が良いのかお得なベストタイミングが変わってきます。
会社給与とは別で副業で行う人 | 専業で事業を始める人 |
年間 20万円 | 年間 38万円 |
事業所得とは、振り込まれたお金ではなくてそこから経費を引いて残った金額であることをお間違いなく。
これがボーダーラインを超えた場合は開業届を即提出、超えない場合は来年に提出を見送ります。
ボーダーラインを越えない事業所得なら、稼いだお金は課税対象から外れて節税ができるからなんです。
さらに、金額を超えてない状態でもあえて提出することで得られるメリットなんかもあるんですよ。
詳しくはパターン別に個別に解説していきますね^^
◆現在会社で会社員・フリーターとして働いている方
◆無職・専業主婦(主夫)・学生の方
◆年の途中で退職して開業する方
サラリーマン・フリーターの副業の場合
サラリーマンやフリーターとして会社から給与を受けながら、副業として事業を開業する場合。
事業所得のボーダーラインは20万円になります。
20万円以下の場合は雑所得として申告することで課税対象にはならないようにできます。
年間所得が20万円未満の場合
年間での事業所得が20万円を超えない段階では開業届の提出を見送ります。
収入が発生して所得が20万円を超える見込みが立ってからでも遅くありません。
ただし、開業準備期間は一般的に長くて1年とされています。
1年以上になるとかけた費用が開業費として認められにくくなることも知っておきましょう。
年間所得が20万円を少し超える場合
経費で調整して20万円未満に収まるようにし、翌年での開業にした方が税金が取られないのでお得です。
たとえば
「事業を始めた10月の段階では月収2万円だったが、11月から急に伸び始めて月収10万円になった」
という場合は経費を増やして所得を20万円未満にして来年からの開業にした方が得ということです。
20万円未満の事業所得の場合は「雑所得」にすることができるので所得税や事業税の課税対象にならずに済みます。
また、副業で少額しか稼いでいない場合は確定申告をしない人も多いです。
20万円未満の場合は自分で行う確定申告も不要で、会社に任せていて大丈夫です。
ただし、開業届を出しているのに確定申告を自分でせずに会社に任せていると、市役所から「所得の申告をしてください」と通知が来るようになります。(特に住民税の関係で)
開業届はできるだけ出さないようにすることで
- 確定申告などの手間がなくて楽
- 税金のことを考えなくていい
- 役所にツッコまれない
- 会社に通知が行かない
なんてメリットがありますね。
「副業で少しずつ稼ごう」と思う場合は20万円のボーダーラインを覚えておくとよいです^^
年間所得が20万円を大幅に超える場合
20万円を大幅に超えてしまう場合には開業届はすぐに提出しましょう。
開業届を出して青色申告すれば受けられるメリットが大きいからです。
最大65万円の控除を受けて事業所得の課税額を0円にすることもできます。
事業所得が赤字の場合
事業が赤字の場合は、じつは開業届を出す方がお得です。
給与所得から事業赤字を差し引いて確定申告できるからです。
確定申告することで給与所得で先に源泉徴収されていた所得税が還付で戻ってきます。
今まで会社に全て任せていた確定申告。
自分でやるのは最初は結構大変ですが、お金が返ってくるので頑張ってみましょう^^
今は簡単に確定申告できる会計ソフトがあるので大丈夫ですよ♪
※ここでちょっと注意
事業の赤字が認められるのは開業届の提出だけが条件ではありません。
事業の利益性や継続性などを見て、経費が妥当かどうかを審議されることも覚えておきましょう。
たとえば、会社員の給与が年間500万円ある人が、月1万円の売上しか見込めない事業に毎月30万円の経費を使ったとします。
接待交際費として毎日外食したりすれば使える金額です。
「遊んだ金で節税できるなんて最高!」なんて思っていたら最後に痛い目を見ます。
税務調査が入り裁判が起こって、事業赤字と認められない判決が下ります。
使った経費は何の節税効果も果たさずに、ただ浪費しただけに終わります。
こんなことにもなるので、何が正当な経費として認められるかは、ご自身できちんと勉強しないといけません。
無職・学生・主婦から専業として開業する場合
専業主婦・学生・無職などで給与所得がない場合からの独立開業の場合。
もしくは昨年からずっと開業準備をしていて今年の分の給与所得がない場合。
これはボーダーラインは38万円になります。
経費を差し引いた後の所得が38万円になるかどうかで開業届のタイミングを見計りましょう。
年間所得が38万円未満の場合
事業がまだ波に乗らない、もしくは年末での事業開始で年間所得が38万円を越えない場合は、開業届を出さずに来年での開業にしましょう。
所得が38万円を超える見込みが立ってからの開業でも遅くありません。
ただし、開業準備期間は一般的に長くて1年とされています。
1年以上になるとかけた費用が開業費として認められにくくなることも知っておきましょう。
年間所得が38万円を少し超える場合
経費で調整して38万円以下に収まるようにし、翌年での開業にした方が税金がかからないのでお得です。
年末にパソコン用ソフトを買うとか、本を買うとかして経費を使いましょう。
年間所得が38万円を大幅に超える場合
年間での事業所得が38万円を大幅に超えるなら、すぐに開業届は出すようにしましょう。
そのほうが受けるメリットが大きいからです。
開業届をだして青色申告をすれば最大65万円の控除を受けることもできます。
事業所得が赤字の場合
専業でやっていて赤字の場合は、開業届けを急いで出しても後から出しても大きく変わることはありません。
好きなタイミングで出したらいいと思います。
ただし、開業までの期間が長すぎると開業費として経費が認められないことがあるので、そこだけ覚えておきましょうね。
33万円のボーダーラインがある?!
上で説明した38万円のボーダーラインは、所得税がかかるかどうかのラインです。
じつはこのほかに、33万円のボーダーラインというのもあるんですよ。
33万円のボーダーラインは住民税がかかるかどうかのラインです。
なので33万円以上の所得がある場合は、市役所で「住民税の申告」をする必要があります。
(未成年は125万円までなら免除)
開業届を出して青色申告にするなら、「33万円の基礎控除+65万円の特別控除」で住民税の課税所得は98万円以上からとなります。
年の途中で退職して個人事業主として開業する場合
1年中の途中まで会社員・フリーターとして働いていて、ある時会社を辞めて個人事業主になろうと思った場合の税計算についてお伝えします。
個人事業主は自分で確定申告する必要がある
年の途中で退職した場合は、年末調整や確定申告を会社にやってもらえません。
なので自分で確定申告に行かなければならないことを覚えておきましょう。
面倒だからと確定申告をせずにいると、還付で返ってくるはずだったお金を受取ることができなくなります。
給与から天引きされる所得税は、今後1年の給料を予想して引かれています。
なので、年の途中で退職した場合は所得税を支払いすぎている可能性があるんですね。
市役所は払いすぎた分を勝手に返してくれるほどお人好しではありません。
でも申告してくれた人にはちゃんと返してくれます。
なんと10万円以上返ってくることもあるので、面倒でもちゃんとやった方がいいですね^^
まあ、来年以降もやることになるのですから、頑張って覚えましょう。
退職後に自宅に送られてくる「給与所得の源泉徴収票」は確定申告の時に使うので大事に保管しておいてくださいね。
事業所得のボーダーライン
年の途中で退職した場合は、事業所得のボーダーラインは38万円です。
事業での所得が38万円未満の場合は開業を見送って来年の開業にします。
38万円をちょっと超えるくらいなら、経費を使って38万円未満におさえるように調整しましょう。
38万円までの事業所得は、基礎控除という枠の中におさまるので非課税となります。
ただし、1年以上の開業準備期間になるとかけた経費が認められにくくなるので注意してくださいね。
事業がうまくいかないにしても、会社で働いていた分があるので確定申告は必要です。
(給与所得20万円未満の人は確定申告は不要ですが還付金があるので行ったほうがいいです。)
覚えておいてくださいね^^
事業所得が38万円を大幅に超える場合
38万円のボーダーラインを大幅に超えてしまう場合は、すぐに開業届を出しましょう。
同時に青色申告の申請をすることで最大65万円の控除を受けることができます。
つまり38+65の103万円までの事業所得なら非課税になるということです。
事業所得が赤字の場合
年の途中で退職して事業が赤字の場合は、開業届は年内に提出するほうがお得です。
給与所得から事業の赤字を差し引いて確定申告することができるからです。
これを「損益通算」といいます。
たとえば、
給与所得で150万円稼いでいても、事業所得が60万円の赤字なら課税所得は0円です。
給与から源泉徴収で引かれていた「所得税」が確定申告後の還付で全額返ってくることもありますし、来年の住民税が0円になったりもするので退職した後の開業はオトクなことが多いです。
この制度を利用するためには、事業の赤字として認められる必要があります。
そして、そのために開業届を出すのです。
ただし、開業届の提出は必要最低条件であって、事業の継続性・利益性・経費の妥当性などが承認されないと経費として認められないケースもあるので注意しましょう。
例)
500万円の給与所得があって、月収1万円のブログ運営で毎月30万円の経費がかかっているという場合。
お店を開業するための工事費用などなら通常の範囲だと思いますけど、ブログの運営で1年で400万円近く必要というのは普通はあり得ません。
節税目的で経費を使いまくっているようにも見えます。
こうした場合は経費として認められないことがあるので気をつけてください。
ただの浪費になるだけです。
退職後に開業する場合の注意点
会社を退職してから開業届を出してしまうことのデメリットがひとつあります。
それは、退職後にもらえるはずだった失業給付金がもらえなくなるということです。
失業給付金とは、退職後の転職活動で必要になるであろう生活費や活動費のためにもらえるお金です。
開業準備をしたり、開業をしてしまうと「転職する意思がない」とみなされて失業給付金がもらえなくなります。
「そんなお金は要らん」
「事業やったほうが儲かる」
というたくましい方は失業給付を待たずに開業してしまっていいと思います。
でも、「最初の1年は稼げないことが分かっている」というような開業の場合は開業届のタイミングを見計らうのもいいかもしれません。
失業給付金は退職後1年経つとお金をもらう権利がなくなってしまいます。
「今回使わなくても次の失業の時にもらえる」
というのは、再び会社に就職して雇用保険料の支払いを再開する場合のみです。
たとえ10年間頑張って保険料を支払い続けていたとしても、開業届を出して事業主になると数十万円の失業給付金はもらえなくなるので覚悟しておいてください・・・。
(給付が終わるまで「開業届を出さない・儲けを出さない」というのもひとつの手ですがオススメはしません)
開業届を出さないとどうなる?!
開業届は事業を始めて収入を得る人が必ず提出し、所得に合わせて納税しなければならない義務があります。
ただし、基本的に自己申告制なので提出しなくてもしばらくはバレることはありません。
しかしここで注意です。
仮に開業届を出していなかったとしても、あなたにお金を振り込んだ取引先が確定申告するため、入金先によって収入がバレてしまいます。
また、マイナンバー制度も始まりました。
今は大丈夫だったとしてもこれから先に対策が施行されて全員の収支が筒抜けになるかもしれません。
所得をいつわっていると追徴課税があり、罰として税金をたくさん追加納税しなくてはならなくなります。
しかも最大で過去7年にさかのぼって調査されるため、かなりの金額を失うことになります。
こうしたリスクがあることを考えると、いつまでも開業届を出さないのは得策とは言えません。
基本的には開業準備を始めてから1年以内に開業届を提出することをオススメします。
職業欄の書き方で税率が変わる?!
開業届には職業を書く欄があり、肩書きは自分で決めることができます。
基本的にはなんでも良いのですが、書いた職業によって個人事業税の税率が変わってくるため知識を持っておいた方が良いです。
職業を「ライター」や「文筆業」にすると免税されるという話を聞いたことがある人もいると思います。
「販売業」と書くと事業税が5%取られますが、「文筆業」と書くと事業税はかかりません。
おかしな話ですが現在ではそうした仕組みになっています。
まだまだある?!開業届提出の際の注意点
開業届を出しに行く前に知っておくべきことはさらにあります。
税務署を何度も往復することにならないようにしたいですよね。
屋号を決めておこう
開業届には屋号を書く欄があります。
会社における企業名にあたります。
「○○事務所」や「○○グループ」「○○オフィス」などの名前を自分でつけて開業できます。
(法人でない場合は株式会社◯◯とは名乗れません)
屋号は後から変更することができますが、変更となるのは次の年度からになるので、年が変わるまでは変わりません。
ちなみに屋号は書かずに提出しても受理されます。
(私は書きませんでした)
屋号があると銀行で屋号名義での口座開口ができます。
経費精算をしやすくするための事業用の口座や、ユーザーからの振込口座を作る場合に便利です。
提出は開業日から1ヶ月以内に
開業届は必ずしも開業開始までに事前に提出するものではありません。
開業後1ヶ月以内に提出すればよいとされています。
たとえば自分が5月1日から開業と決めた時には、5月末までに提出すればOKです。
なので所得が20万円を超えてしまった後の開業届提出でも間に合うということです。
提出前には開業届をコピーしておこう
税務署に開業届を提出すると事業者控えなどはもらえません。
書き終えたら自分でコピー印刷しておき、提出時に一緒に印鑑を押してもらい自分の控えにとっておきましょう。
初めての確定申告は心配…準備しておくとよいものは?
個人事業主になって初めての確定申告は、何が必要なのか、何からやればいいのか不安でいっぱいですよね。
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